2018年9月7日

茅葺き屋根から煤竹が生まれる

こんにちは 越前竹人形の里スタッフです。久しぶりの投稿となりました。
今回は、特注品と煤竹(ススタケ)について書こうと思います。

オーダーのご依頼をいただいて納品した特注品がこちら。

能の演目「羽衣」です。漁師と天女の羽衣伝説、と聞くと親しみを感じる方も多いのではと思います。美しい天女が舞う踊りはどれほど魅了されるのか、出会った男性との恋物語と合わせて色々想像してしまう有名な伝説です


今回は厳かな能の世界の天女。打ち合わせで”煤竹”を使用することにしました。

煤竹とは、茅葺屋根の天井に使われており、囲炉裏の煙に数百年の間燻されて自然と飴色に変化した竹。越前竹人形の里では、竹の種類でNo.1の高級品として利用しています。数が少なくて、将来はどうなるのだろうと心配してしまうのですね。

・・うんちくはともかく、言うよりも画像を見て頂きましょう。

かやぶき屋根のお家がこちら。
重要文化財として保護されているお家もある、激減しているので超~貴重な建造物です。


そして、その茅葺屋根の天井がこちら。
三角屋根部分に竹が使われています。画像の竹はまだ白っぽいですが、この下にある囲炉裏の煙を浴びることによってだんだんと黒くなっていくのです。


囲炉裏の煙によって燻されて変色するのは数年では到底無理なこと。
100~200年以上かかってようやく独特の褐色、飴色になったものが煤竹と呼べることがお分かりでしょうか。

では、その天然の”煤竹”である、という見分け方(証拠)がこちら。


縛られた縄の痕です。縛られた部分は、煙に当たらないので薄く変色するに留まり、このような模様となります。

戦火も免れて100年以上前から家に居続け(見続け)てきたものがここにあるのかと思うと、これはもうロマンだと思うのですね。200~300年前のものなんてそりゃもう美しくて奇跡です。風格さえ感じる独特の艶と色、割れない耐久性、燻されているので防虫も施された優れた材料が煤竹です。

その煤竹の歴史と能の歴史、羽衣伝説も重なり、色々と思いを馳せつつ飾り楽しんでいただければ制作側としたら嬉しいの一言です。

たまに、だって竹でしょ~。。。というお声も入りますが、たかが竹、されど竹。
竹は奥深い植物です。少しだけでも、そうだったんだ~と知っていただけたら幸いです。

ちなみに特注品は、デザインと予算とご希望の竹の種類をお聞きして、時には双方がかなり歩み寄り、ご依頼者様がご納得いただいてから制作します。予算によっては、竹材のランクや品質も前後しますが、ご希望の場合は適した材料が見つかるまで竹を探して製作します!